もりもりです。
あなたは図書館でどのような本を手にしますか?
これからお話しすることは、図書館で何気なく手にした一冊の本に、今後の人生を一転させる衝撃の内容が記されていたのです。
本をあまり読まない人も、ときには図書館に足を運んでみるとよいでしょう。
思いがけない幸運が、あなたに転がり込んでくるかもしれませんよ。
(出典元:科学では解明できない奇妙な話より)
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一冊の本との運命的な出会い
1920年代、フランスの学生ジャン・ポーロ・ラコストは、イタリア・ローマのバチカンにやってきた。
ジャンは母子家庭で育ったが、家が貧しかったのでついに学業を続けることがむずかしくなった。
そこでジャンはなんとか学業を続けたいと思い、アルバイトを探したところ、運よくバチカン図書館の翻訳(ほんやく)のアルバイトを見つけたのだ。
そしてフランスから、はるばるローマまでやってきたのだった。
さて、さっそくバチカンに着いたジャンは、バチカン図書館の司書長をたずねてみた。
「失礼します。フランスから翻訳のアルバイトにきたジャンと申します。
司書長さんはいらっしゃいますか。ごあいさつに参りました」
「それはどうもご苦労様です。あいにく、ただ今司書長は留守ですが」
「そうですか。それではまたうかがいます」
たまたま司書長が留守だったので、しかたなくジャンは図書館をぶらついて時間をつぶしていた。
「へえーっ、さすがはバチカン図書館だな。こんなに豪華そうな本がたくさんあるとは、驚いたなあ」
このときにジャンは、なぜか図書館の「動物学という本が目についた。
「あれっ、この本はなんだ。なに、動物学だって?」
彼はなぜか不思議に興味を引かれたので、手に取ってひまつぶしに読んでみた。
「いやあ。これは意外とおもしろそうだ!」
彼はその内容がおもしろくて、思わず夢中になって読んでしまった。気がつくと、もう最後から2ページのところまで読んでいた。そしてその余白には、赤いインクで著者のエミール・ド・フェブリエからのメッセージが書かれていた。
そのメッセージは、次のような文章であった。
<ローマのパラッツォ・ディ・ギウスティズィア裁判所に出頭して、そこに預けてある、この番組のついた書類を請求しなさい>
そしてさらに読むと、次のような文章で締(し)めくくられていた。
<あなたにとって幸運が待っている>
ジャンはこれを読んで、あまりの不思議な謎めいた内容に、思わずワクワク興奮してしまった。
「まさか本当に、こんなことがあるのだろうか?」
ジャンはおもしろそうだったので、さっそく試しにその書かれた裁判所に行ってみた。
残されていた遺言書
裁判所に着いたジャンは、まさかと思いながらも、半信半疑でその番号のついた書類を請求してみた。
「すみません、この番号の書類はまだあるでしょうか?どうか調べてほしいのですが」
「ふむ、これは古い書類ですな。ちょっと待ってください」
しばらくすると、係員はやってきて、ジャンに封筒を手渡した。
「ありましたよ。これがその書類です」
「いやあ、本当にあったとは驚きだ!よく残っていたものだ」
これにはさすがに、ジャンも驚いて感激した。やはり誰も、この書類の請求などしていなかったのだ。
さて、彼は興奮しながら封筒を開封した。すると中から、書類といっしょになって一通の手紙が出てきた。
「何だ?これは手紙ではないか」
その手紙は驚いたことに、なんとフェブリエの遺言書だった。そしてそこには、次のように書かれていた。
<あなたに私の全財産をさしあげます>
これを読んで、さすがのジャンもびっくり仰天した。
「なんだって!これは本当のことなのか」
そのフェブリエの遺言書の内容とは、だいたい次のようなものだった。
<自分がせっかく一生懸命に書いた本『動物学』を、世間の人は誰も読んでくれなかった。身内や友人たちは、自分の出版を誉(ほ)めてくれたけれど、しかし本の中身に目を通したものは誰もいなかった。だからせっかく、私の本を読んでくれたあなたに、感謝のしるしとして私の遺産をさしあげます>
遺言書には、このような内容が書かれていたのだ。
ジャンは、この思いがけない幸運に興奮した。
「これはものすごいことになった。なんてラッキーなんだろう!」
喜んだ彼は、急いでフランス領事館に駆け込んだ。そしてこれまでの、一部始終を伝えてみた。するとフランス領事館は、すぐに裁判所に掛け合ってくれたのだ。
そして調査してみると、実際にフェブリエの遺産は裁判所で管理されていたことがわかった。
しかもそのフェブリエの遺産は、なんと400万リラにもおよぶ大金だということまで判明したのだ。
これを聞いて、ジャンは大喜びであった。
「ええっ、400万リラだって!やったぞ、大金を手にしたぞ」
しかし残念ながら、このジャンの喜びもつかの間の出来事だった。
奇跡の大逆転
じつはよく調べてみると、イタリアの法律ではフェブリエの遺言は無効となって、発見者のジャンには遺産を受け取る権利がまったくないのだということが判明したのだ。
それはつまり、イタリアの法律では親族でいちばん近い者でなければ、フェブリエの遺産を相続できないということなのだ。
これを聞いて、期待外れとなったジャンは、がっかりしてしまった。
「なんだ、せっかく見つけたのに、ダメなのか。せっかくもう少しで、多額の遺産をもらえるというところだったのに。ここイタリアの法律では無効だとは、まったく不幸というか、なんとついてないことだろう」
彼はこう思いながら、落胆して失望の表情を浮かべた。
しかしそのとき、彼の脳裏にある記憶がよみがえってきた。
「ちょっと待てよ。そういえばたしか、母親の旧姓はフェブリエだったな」
変わり者の祖父がいて、彼は家族を捨ててどこかへ消えたと聞かされていたことを、急に彼は思い出したのだ。
「これはもしかすると、何か関係があるかもしれないぞ」
彼に、一筋の希望が芽生え始めた。そこで調べてみると、まさしくこのフェブリエこそジャンの祖父であることがわかったのだ。
「なんということだ。フェブリエが私の祖父だったとは!これこそまさしく奇跡に違いない」
この不思議な偶然に、いちばん驚いたのは、ジャン本人だった。
やがて1926年に、ローマ最高裁判所はフェブリエの遺産を、いちばん近い親族である彼の娘。つまりジャンの母親に与える議決を下したのだった。
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最後に
何気なく手にした本。
そしてその本の著者が祖父だった。
何ものかの力よって祖父と孫が引き合わされた。
きっと、祖父が孫のためにと天国からの思いの力だったのでしょうか?
でも、このような出来事は意外と多いのではないでしょうか。
今日も読んでくれてありがとうございました。