もりもりです。
こんな経験をしたことがありませんか?
夢で見たことが、現実となる。
なんとなくっていう、イメージであってもです。
夢で見たこと、感じたことが遠く離れた場所で起きていた。
親が亡くなる夢を見て、ちょうどその時間に親が亡くなったなど。
今からお話しすることは、戦時中に行方不明になった恋人と、再会するまでの出来事です。
最後まで読んでくださいね。
(出典元:科学では解明できない奇妙な話より)
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引き裂かれた恋人!
第一次世界大戦中のことである。
ポーランドにマーナ・メルチという少女がいた。
このマーナ・メルチには、スタニスラウスという恋人がいた。
ふたりはいつも一緒であり、たがいに結婚することを約束しあっていた。
ところがこうした幸福なふたりを、悲しくも無残に引き裂く出来事が起きた。
第一次世界大戦が勃発(ぼっぱつ)し、スタニスラウスは兵士として戦場に行くことが決まったのだ。
いつも仲良しのふたりにとって、これは大変悲しい別れとなった。
「とても残念だわ。スタニスラウス、かならず帰ってきてね。そして約束通りに私と結婚してね。あなたの無事な帰りを待っているわ」
「ああ、もちろんだとも。どうか待っていてくれマーナ、もどったらかならず君と結婚するから」
若いふたりはこう言って、お互いに再会を誓い合った。
なにしろふたりは離れて暮らすだけでなく、運が悪く戦死すれば、もう二度と会えなくなるのだ。
やがて彼は戦地へ出かけてしまい、マーナにとっては遠く離れた戦地の恋人の無事を、ただひたすら祈るばかりの毎日が続いた。
しかしその後、悲しい事態が起きてしまった。
恋人のスタニスラウスが、戦場の混乱に巻き込まれ、ついに行方不明になってしまったのだ。
「ええっ、彼が行方不明ですって!それは本当なの?」
この知らせを聞いたマーナは、あまりの事態に心がちぎれるほど悲しんだ。
「ああっ、神さま。どうか彼が無事でありますように」
心配したマーナは、心が動揺していた。もしできれば自分で戦場に出かけて行って、なんとか彼を捜したい心境だった。
しかしそれは無理なことだった。
夜な夜な奇妙な夢を見る!
やがて戦争も終わりに近づいた1918年10月のこと、ある晩マーナは不思議な夢を見た。
それは彼女の恋人のスタニスラウスの夢だった。
彼は暗闇の中で、出口を探して苦しんでいた。
しかし出口は見つからず、彼はうめき声をあげてうずくまるという夢であった。
「ううっ、マーナ、助けてくれ!」
「どうしたのスタニスラウス、ねえ、どこにいるの?」
彼女はすぐに夢から覚めて、今見た夢のことを不思議に思った。
それからというもの、彼女は何度もスタニスラウスの夢を見るようになった。
そして夢の中では、なぜかいつも彼が苦しんでいるのだった。
「また同じ夢だわ。おかしいわ、なぜ彼が苦しんでいる姿ばかり見るの。せめて夢の中ぐらい、彼と幸せに過ごしている姿を見たいのに」
彼女はたとえ夢でも、彼の苦しい姿はあまり見たくないものだと思った。
さてその後、1919年の夏になると、今度はマーナの夢に古く崩れかかった古城(こじょう)が現れるようになった。
古城は小高い丘の上にあり、その崩れかかった古城のガレキの中から、助けを求める声が聞こえてくるのだ。
「おーい、マーナ!助けてくれ」
「ねえスタニスラウス、どこにいるの。もしかして、このガレキの下なの?」
どうやら彼は、そのガレキの下にうもれているようだ。
夢の中でマーナは、必死になって恋人を救い出そうとした。
彼女はガレキを手当たり次第に取り除こうとするのだが、どうも彼女の力だけでは思うようにはかどらなかった。
彼女は困ってしまい、誰かに手助けしてほしいと後ろを振り返るところで夢が終わり、決まって目が覚めるのだ。
このような夢が何度も続いたのでなんとなくマーナは恋人のスタニスラウスが本当に生きていて、彼女に助けを求めているような気がしてならなかった。
そこで彼女は思い切って、友人や家族にそのことを打ち明けてみたが、誰も本気になどしてくれなかった。
しかしマーナは彼のことを考えると心配で、もはやじっとしてなどいられなかった。
ついに彼女は、自分だけで彼を捜し出す決意をした。
しかし、いざ恋人のスタニスラウスを捜そうとしても、彼の手がかりはほとんどなかった。
なにしろ捜す手がかりとなるのは、夢に出てきた古城だけであり、もちろん古城の名前も場所もまったく不明なのだ。
彼の捜索に協力してくれる人などなく、こうしてマーナの苦難の古城探しの旅が始まることになった。
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夢で見た古城
その後マーナは、自分の夢の記憶を頼りに各国の古城を探し出すことに成功した。
それは夢と同じような場所で、古城が丘の上にあり、しかもその一部は崩れてガレキの山になっていた。
この古城のまわりの景色を見て、彼女は直感した。
「これだわ、まさに夢の通りだわ。彼がいるのはこの古城に違いない!」
マーナには驚きと同時に、喜びの感情が湧いてくるのだった。
さっそく彼女は、古城のガレキを片付け始めた。
しかし地元の人たちには、この彼女のとった行動の理由などわかるはずもなく、ただ彼女の行動をいぶかしげに見つめるのだった。
彼女はこうした村人たちの目など気にせず、必死でガレキを片付け続けた。
「たとえ少しずつでもいいわ。こうして毎日続ければ、きっとガレキを掘り返せるはずだわ」
彼女はこう考えて、毎日ひたすらガレキを片付けていた。
やがて村人たちも少しずつ彼女の事情を知り、そして彼女の境遇に同情した人々が、少しずつ手を貸してくれるようになった。
こうして彼女は我慢強くガレキを掘り続け、やがてガレキの下にすき間を見つけだした。
彼女はさっそくそのガレキのすき間から、恋人の名前を呼んでみた。
すると驚いたことに返事が返ってきたではないか。
「オーイ、ここだ。早く助けてくれ!」
それはまぎれもなく、恋人のスタニスラウスの声だった。
「スタニスラウス、あなたなのね。ああよかった、やっと見つけたわ!」
マーナは感激の声をあげた。ついに彼を捜し出すことができたのだ。
村人の手を借りてガレキを取り除くと、その下の穴の中から髪もひげもボウボウのスタニスラウスが発見された。
こうして彼は、およそ2年ぶりに無事に救出されたのだった。
愛が奇跡を呼んだ!
ところでどうして彼は、古城のガレキの中に閉じ込められていたのだろうか。
その理由はスタニスラウスの話によると、どうやら古城を偵察していたときに敵の砲弾で城の一部が壊れ、彼は運悪く城の地下のガレキの中に閉じ込められてしまったのだ。
しかし彼が閉じ込められたのは、幸運にも地下倉庫だった。
そして地下倉庫には、チーズやブドウ酒などの食料がたっぷりと貯槽(ちょぞう)されていたのだ。
そのおかげで彼はおよそ2年間ものあいだ、光の届かない穴蔵(あなぐら)のようなところで、地下倉庫の食料を食いつないでなんとか生き延びてこられたのだった。
彼は穴蔵の中で、失意に襲われて何度もダメになりそうになった。
「もうダメだ!オレはこのまま光のない世界で、誰にも知られることもなく死に果ててゆくのか」
彼はこう思って、何度もあきらめかけた。
ときには自殺しようと思ったこともあった。
しかし彼はその度に、婚約者のマーナのことを思い出し、もう一度彼女に会いたいと考え直して、かろうじて生き延びてきたのだった。
そしてそれは、マーナがちょうど彼の夢を見始めた時期だった。
まるで彼が呼ぶ声を、遠く離れた場所で彼女が聞いたとでも思えるような、なんとも不思議な偶然である。
なにしろ彼女は、何度も彼の閉じ込められた様子を夢で見ていたのだから。
この恋人たちの深い愛情がテレパシーへと変わり、彼が発したSOSを遠く離れた場所で彼女が察知したのだろう。
つまりマーナは遠く離れた場所の彼の閉じ込められた様子を遠隔透視していたことになる。
これはまさに、離れ離れになっていた恋人たちが起こした、素晴らしい愛の奇跡ともいえよう。
こうして運命的な再会をした恋人たちは、その後めでたく結婚したのだった。
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まとめ
行方不明の彼が夢の中であらわれて助けを求める。
きっと夢のお告げだったのでしょうね。
たがいの思いが強ければ強いほど、このような奇跡が起きるのでしょうね。
今日も読んでくれてありがとうございました。