もりもりです。
世の中には、大の女好きな男がいる。
いわゆる、女の敵、プレイボーイといわれる男。
しかし婚約者がいれば、話は別です。
決して浮気はいけない。
婚約者を泣かせることをしてはいけない!
今から話すことは、結婚者がいるのに次から次へとほかの女に手を出して、婚約者を自殺に追いやった男の結末です。
最後まで読んでくださいね。
(出典元:科学では解明できない奇妙な話より)
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女癖の悪い男
1893年、アメリカのテキサス州ハニーグローブにヘンリー・ジーグランドという若い男がいた。
彼にはアリス(仮名)という、かわいい恋人がいました。
ヘンリーはアリスに結婚を約束する。
「アリス好きだよ。結婚しよう」
「ヘンリー。うれしいわ、私たち結婚するのね」
純真なアリスは、ヘンリーの言葉を真剣に受け止めていた。
ふたりは婚約し、将来を誓い合った。
ところが、このヘンリーは、すごく女癖が悪かった。
いわゆる浮気症だった。
「結婚すると女遊びできないから、今のうちに遊んでおこう」
こんなことを思っていたのだ。
こうしてヘンリーは、アリスがいながら、ほかの女たちと付き合いだした。
ヘンリーは浮気を繰り返すようになり、しだいにアリスに会わくなった。
アリスは、ヘンリーが自分のところにこなくなり、なんとなく不安になってきた。
「もしかしたら、私のことが嫌いになったのかもしれない。ひょっとすると、ほかの女と浮気をしているのかもしれない」
さすがに女のカンはするどい。
ヘンリーの行動が気になりだしたのだった。
そして、ヘンリーの悪い噂も聞くようになる。
不安になったアリスはヘンリーに聞いた。
「ヘンリー、最近は忙しいの。どうして会いにきてくれないの」
「ああっ、仕事が忙しくな」
彼はなんとか浮気をごまかそうとしたのだ。
しかしそんな言い訳は見抜かれていた。
「うそでしょ、仕事なんかじゃないでしょ?」
アリスの言葉にヘンリーうろたえた。
そして彼は怒鳴(どなる)ように言った。
「俺を疑っているのか、嫉妬(しっと)ぶかい女だな」
「私はあなたのことが心配なの、だって私たちは婚約しているのよ」
浮気性のヘンリーには、「一途(いちず)なアリスの純真さが重荷になっていたのだった。
アリスがヘンリーを愛せば愛すほど、ヘンリーの浮気の虫がうずき出した。
ついにヘンリーはアリスのもとにこなくなったのでした。
婚約者のアリスの死
その後、ヘンリーはほかの女と一緒になり、その女と行方をくらましてしまった。
このことを、アリスは知ってしまう。
「あれほど愛してると言ったのに、婚約までしたのに。それなのに私をだまして捨てるなんて、ひど過ぎる」
ヘンリーが自分を裏切ってほかの女と逃げたと聞かされて、さすがのアリスも失望に打ちのめされた。
あれほど愛したヘンリーに無残に裏切られたことが相当なショックだったのだ。
それでもなお、アリスはヘンリーを信じたが、
しかし悲しいことに、こうしたひたむきな気持ちなど、女癖の悪いヘンリーには伝わらなかった。
アリスは悲しみに暮れて寝込んでしまい、やせて哀れな姿となってしまった。
「ああっ、ヘンリー。私はあなたをずっと信じていたのに」
やがて悲しみに包まれたアリスは、極限状況に追い込まれてしまい、ついに自殺してしまった。
悲惨で哀(あわ)れなアリスの最期だった。
この知らせを受けたアリスの兄のビル(仮名)は、驚いて彼女のもとに向かった。
兄のビルは、これまでに妹のアリスから何度かヘンリーの女癖の悪さを聞かされてはいたが、まさかビルはこれほど深刻な事態だとは知らなかった。
「ごめんよアリス、こんなに苦しんでいたとは知らなかった」
ビルは泣きくずれた。
やせ細った見るもの無残な妹の姿を見て、ビルは怒りがこみ上げてきた。
「くそう、ヘンリーの野郎。俺のかわいい妹をこんな目にあわせやがって!」
兄のビルはこのままでは、かわいい妹の死が浮かばれないと思った。
怒りに震えるビルは、目に涙を浮かべながら妹の復讐を誓った。
「ううむヘンリーめ、このまま生かしてはおけぬ。まかせておけアリス、お前の恨(うら)みは必ずこの兄が晴らしてやる!」
兄の復讐
その後ビルは何日もかけて、妹の婚約者だったヘンリーの行き先を探し続けた。
そしてようやく彼の住んでいる家を探し出した。
ビルは覚悟を決めて、ヘンリーの家へと向かった。
ビルはヘンリーの家につくと、大声で彼を呼び出した。
「おいっ、ヘンリー。ちょっと出てこい」
「なんだよ、いったい誰だよ」
玄関から出てきたヘンリーは驚いた。
なんと家の前には、婚約者だったアリスの兄のビルが立っているではないか。
しかもビルは恐ろしい顔つきで、銃を手に持っているのだ。
まだアリスの自殺など知らないヘンリーは、これは恐らくアリスの兄が妹と別れたことを知り、怒って文句を言いにきたのだと思った。
そこでヘンリーは、なんとか弁解しようと、あわててアリスの兄に言った。
「おいおいっ、誰かと思えばアリスの兄さんじゃないですか。ところでそんな物騒な物を持って、いったいどうしたんですか。またアリスが俺の悪口を言ったのかい。しかし兄さんよ、じつはもう彼女とは別れたのだよ」
「そんなことはもうわかっている。ところでヘンリーよ、妹のアリスはお前のせいで自殺したのだ。そのことをお前は知っているのか!」
「ええっ、なんだって、あのアリスが自殺したって?兄さんよ、冗談はやめてくれよ。まさかうそだろう、そんなはずはないだろう」
さすがのヘンリーも、元婚約者のアリスが自殺したと聞いて、本当に驚いて動揺を見せた。
ヘンリーの動揺を見ながら、さらにビルは怒りの形相(ぎょうそう)で言った。
「よく聞け、ヘンリー。アリスは本当にまじめで純真な妹だった。その妹をお前はもてあそんで捨てたのだ。妹はお前に裏切られながらも、それでも最後まで婚約者のお前のことを信じて待っていた。そして数日前に衰弱(すいじゃく)した体で、最後に自らの命を絶ったのだ。」
「なんてこった、そんなことは全然知らなかった。まさかあのアリスが、本当に自殺するなんて」
さすがのヘンリーもアリスが自殺したと聞いて、多少は反省したようだった。
しかしそれだけでは、ビルの気持ちは済まされるはずがない。
さらにビルは険(けわ)しい表情で言った。
「いいかヘンリー、このままでは妹のアリスが浮かばれない。そこでお前には死んで妹のつぐないをしてもらう。さあ覚悟しろ、妹があの世で待っている。お前にはもったいない妹だが、これが冥途(めいど)の土産(みやげ)だ。さあ、死んで妹のもとに行け」
ビルはこう言うと、銃をかまえて銃口をヘンリーに向けた。
「おいおい、ちょっと待ってくれよ。兄さんよ、勘弁(かんべん)してくれよ。俺はアリスが死んだなんて知らなかった。俺のせいじゃない、許してくれよ」
ヘンリーはこう言って、玄関から庭先の林に逃げようとした。
しかしビルは銃口を向けたまま、ヘンリーを逃がそうとしなかった。
「ヘンリー、妹の仇(かたき)だ。死ねっ!」
「うわーっ、助けてくれ!」
ビルはヘンリーの顔をめがけて、至近距離から銃弾を放った。
「ズダーン!」
一発の銃声がとどろき、次の瞬間、ヘンリーは頭から血を吹き出してその場に倒れた。
「やったぞアリス、これでお前の恨みを晴らしたぞ」
ビルはヘンリーの頭から流れる血を見ながら、その場に立ちつくしていた。
「これで終わりだ。ヘンリーよ、あの世ではアリスを幸せにしろよ」
ビルは死んだヘンリーの冥福を祈った。そして今度は自分の額に銃を向けて、次のように言った。
「ついに妹の恨みは晴らした。これでもう思い残すことはない」
ビルはアリスの笑顔を思い出し安らかな笑顔になり、やがて自分の額に向けた銃口を引いた。
「ズダーン!」
ビルはその場に倒れ込んだ。
彼は妹の復讐を終えると、今度は自らの命を絶ったのである。
裏切りの報い
こうして辺りは静けさにつつまれた。
もはやすべてが終わったと思われた。
ところがしばらくたってから、なんとひとりの男がゆっくりと起き上がったのだ。
額から流れる血をぬぐったその男は、あのヘンリーだった。
そんなバカな、彼はさっき頭を撃たれて血を流して倒れたはずではないか?
しかし、ヘンリーは生きていたのだ。
じつはヘンリーを狙った弾丸は彼の頭をかすめただけで、庭先の林の木の幹にめり込んでいたのだ。
「ふう、どうやら俺は助かったらしいな」
ヘンリーは額の傷口を触ってみた。
どうやらたいした傷ではなさそうである。
「ああよかった、弾丸は頭をかすっただけだ。どうやら俺の悪運もまだ尽きないようだな」
彼はこう言ってほくそ笑んだ。
こうしてヘンリーは、まんまと生き延びたのであった。
しかしながら、この事件以来、さすがに彼も反省したようで、女遊びを多少は控えるようにしたのだった。
それから月日が過ぎた、1913年のある日、すでに中年となったヘンリーは、家の庭先の林の立木を斧(おの)で倒していた。
彼が木を倒している場所は、あのビルに撃たれた因縁の場所であった。
しかしすでに、あれから20年の月日が経っており、すでにヘンリーの記憶も薄れていた。
「ふう疲れたな、あと一本倒したら終わりにしよう」
そしてヘンリーは次の木を倒しにかかった。
じつはその木は、偶然にもあのときに弾丸がめり込んだ木だったのだ。
そんなことなど覚えていない彼は、必死になって斧(おの)を打ち込み、その木を倒そうと躍起(やっき)になっていた。
しかしどうしたことか、いくら力を入れて斧(おの)を打ち込んでも幹が固いようで、時間ばかりかかってとても倒れそうにない。
もはや体力も限界だった。
「ああっ、くたびれたな。これはなんて硬い幹なんだ。ええい面倒だ、いっそのことダイナマイトで吹っ飛ばしてしまおう」
ここでヘンリーは作業をあせり、面倒だから爆薬を使って、この木を根こそぎ倒そうと考えたのであった。
さっそく彼は、木の幹に数本のダイナマイトを仕掛けて、導火線を引いた。
「さあ、これで木を吹っ飛ばして終わりだ。うまくいってくれよ」
ヘンリーは導火線に火をつけて、少し離れた場所でその行方を見守っていた。
やがてダイナマイトに点火した。
「ドカーン、ドドーン、バリバリ!」
木の幹は吹っ飛び、ついにその木は倒れた。
「うわーっ!」
しかし次の瞬間、ヘンリーはバッタリとその場に倒れていた。
よく見ると、ヘンリーの額には銃弾が命中していたのだ。
これはいったい、どうしたのだろうか。
誰がヘンリーに銃弾を撃ったのだろうか?
まったくもって謎だらけであった。
しかし後で警察が調べた結果を知って、あまりの偶然の出来事にみんなは愕然(がくぜん)とした。
じつはヘンリーの額に命中したのは、なんとダイナマイトを仕掛けた木の幹にあった、あのときの銃弾だったのだ。
つまりアリスの兄のビルが撃った銃弾が、20年の月日を経て、やっとヘンリーの額を直撃したのであった。
すべてはヘンリーの悪行が原因で起きた出来事だった。
婚約者のアリスを裏切った報(むくい)いは、やっと晴らされたのだ。
これでアリスの兄のビルも無駄死(むだじ)にではなくなったわけである。
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最後に
この話で感じたことは、因果応報はかならずあるということです。
良い行いをすれば良いことが起きます。
しかし、悪い行いをすれば、悪いことが自分自身に返ってくるのです。
最後まで読んでくれてありがとうございました。